11/07/2008

教会の結婚式って(1)

日本には大きく、カトリック系、プロテスタント系の2つがあります。また、そのほかの諸派やキリスト教と認められない諸派もあります。だいたい日本人の1%がクリスチャンです。日本キリスト教団(日本基督教団)はこのうちのプロテスタントと呼ばれる系統です。カトリックとプロテスタントのそれぞれの結婚式の違いを記してみます。間違い等があればご指摘いただければと思います。

これまでに正式な教会での結婚式では、カトリック麹町教区聖イグナチオ教会(カトリック)で、吴逸良・北村佳子ご夫妻の結婚式、日本基督教団関東教区上尾合同教会(プロテスタント)で漆原正之・漆原薇薇安ご夫妻の結婚式に参列いたしました(ちなみに、自分の結婚式はまだです)。同じキリスト教挙式です。

カトリック(旧教)プロテスタント(新教)
司式者呼称司祭(神父)牧師
神を称える歌聖歌讃美歌/賛美歌
祈りミサ礼拝
祈りのための場(建物)聖堂教会堂
バージンロード赤または緑系統白系統
日本語経典(聖書)聖書「新共同訳」続編つき聖書「新共同訳」


司式者の呼称ですが、カトリックでは神父(様)が司祭として結婚式を司るのに対し、プロテスタントでは牧師(先生)が担当します。どちらも通常、教会の祈りではミサまたは礼拝を司ります。

聖堂と教会堂の違いですが、よくカトリックの方々が聖堂を(みどう)と呼ばれるのを耳にします。聖堂はカトリックで典礼儀式の行われる場所で、礼拝用空間(礼拝堂)をいくつか持つものが多いです。プロテスタントの教会堂は、礼拝堂と呼ぶことが多いと思います。教会ではなく、ミッション系の学校にあるような正式な教会の外にある礼拝堂はチャペルと言います。この辺の呼び方は、カトリックでは厳格ですが、プロテスタントでは信者や受洗者でも厳密に区別して使っている方は少ないと思います。

神様を称える歌ですが、カトリックでは聖歌、プロテスタントでは讃美歌/賛美歌と呼ばれます。プロテスタントの「讃」と「賛」の違いは諸派により異なります。またカトリック諸教会では、典礼聖歌と呼ばれるミサ用のものが一般に広く用いられています。諸宗派および新旧のバージョンの違いなどから、さまざまな種類の聖歌集・賛美歌集があります。たとえば、吴逸良・北村佳子ご夫妻の結婚式の時に歌われ、当埼玉中国語礼拝伝道所の庞雪花さんが好きな「いつくしみ深き」という歌は、以下の歌集に収録されています(主なもの)。同じ歌でも教会によって該当歌の指定方法はまちまちなのです。

「讃美歌」(1954年、日本基督教団)312番
「教会讃美歌」(1974年、聖文舎)371番
「インマヌエル讃美歌」(1965年、インマヌエル綜合伝道団)165番
「新聖歌」(教文館、2001年)209番
「新生讃美歌」(日本バプテスト連盟、2003年)431番
「日本聖公会 聖歌集」(日本聖公会、2006年)482番
「カトリック聖歌集」 (1966年、光明社)672番

キリスト教の経典は「聖書」です。プロテスタント・カトリック問わず、聖書の日本語訳として広く用いられているのは、財団法人日本聖書協会発行の聖書「新共同訳」と呼ばれる、旧約聖書と新約聖書を合わせたものです。大きさはさまざまありますが、内容は全く同一です。軽装版として新約聖書のみや旧約聖書の詩篇のみのものがあったり、「旧約続編つき」(第二正典、アポクリファが付いている)というものもあります。この第二正典(アポクリファ)というのは、へブル語聖書にはないがギリシャ語聖書に中に含んでいる記述の部分を指し、カトリックや正教会などいくつかのキリスト教派が使用しています。また、よくホテルなどに頒布されている財団法人日本国際ギデオン協会の日本語聖書は、この聖書「新共同訳」です。そのほか、「新改訳聖書」(日本聖書刊行会)のものも、一部のプロテスタント教会で用いられています。


以上がカトリックの結婚式とプロテスタントの結婚式の本当におおまかな違いですが、次回以降で漆原正之・漆原薇薇安ご夫妻の結婚式と吴逸良・北村佳子ご夫妻の結婚式を通して、もう少し細かく見ていきます。


日本基督教団埼玉中国語礼拝伝道所  萩原 勝